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ゆーすけべー日記

はてなBlogってどーなの!?

ワンダーフォン

ワンダーフォン #12

サキとは彼女の自宅近く、湘南台駅前のスーパーマーケットで待ち合わせをした。彼女は自転車で後から追いつくと言い、僕は大きなコインパーキングへ車を停めた。煙草を一本吸ってからスーパーマーケットへ向かうと、ひっきりなしに主婦的な女性かおばあちゃ…

ワンダーフォン #11

この不思議な電話にまつわる物語(それに加えて、完熟卵についての考察)は一切の推敲や辻褄合わせを行わないで文章に残している。過去に書いた<節>に文句があろうとも放っておいている。登場人物の名前が紛らわしいからという理由で置換して修正すること…

ワンダーフォン #10

慌てて震えるワンダーフォンを手に取った。サリーからの着信があったのは、元旦の早朝、川崎堀之内のコインパーキング——つまりワンダーフォンを手に入れたばかりの時——以来だ。こちらから電話をかけることがあっても、サリーから着信をよこすことはあれから…

ワンダーフォン #09

何度も繰り返すが、これは2008年に起こった話だ。 * サキが受講している情報処理の課題の締切である2月14日までの1週間、僕は藤沢の遠藤にあるコメダ珈琲に通った。こういう時にフリーランスという勤務形態は便利である。土日も含めて毎日サキと顔を合わせ…

ワンダーフォン #08

僕がコメダ珈琲に着いて喫煙席を見渡すと、サキはボックスシートに座ってホットコーヒーを飲んでいた。下はロングのコットン生地のベージュのスカートに、上はふわふわと起毛したネイビーのセーターを着ていた。どちらもいい感じに着込まれている印象で、古…

ワンダーフォン #07

サキはやはり慶応の学生だった。現在は大学一年生。一芸入試のような推薦試験をパスして入学するものの、秋学期から授業へはあまり参加しなくなった。ヨーロッパの映画が好きで、家でDVDを借りてみたり、単館上映しているようなところへ出向いてよく観に行く…

ワンダーフォン #06

すっかりサリーに紹介された藤沢の外れにあるコメダ珈琲が気に入ってしまった。そもそも僕の地元は藤沢で——といっても藤沢駅近くなのでコメダ珈琲のある遠藤とは遠くはなれているが——土地勘はあったし、道中のドライブは気晴らしになるし、駐車場は無料だし…

ワンダーフォン #05

2月に入った。自宅にこもっての仕事に飽き飽きしてきた僕は、昼飯をとって(大抵がペペロンチーノをベースとしたスパゲッティーだった)、シエスタを済ませるとMacBookを背中に背負い横浜の街へ出た。ベローチェ、上島珈琲など煙草が吸える喫茶店に入り、必…

ワンダーフォン #04

記録的な大雪となった2008年1月の下旬、僕は横浜の自宅アパートの一室で、ワンダーフォンの発信の仕方を発見した。手に持って十回ばかし小刻みに揺すればいい。すると、今度はワンダーフォン側が振動し、サリーに電話をかけることが出来る。数秒すると相変わ…

ワンダーフォン #03

ワンダーフォンは今思えば、デバイス的観点から言っても不思議なデバイスだった。物理ボタンは皆無だし、MicroUSBなどのケーブルの先っちょを差し込む穴もなかった。かまぼこ板を薄くスライスして真っ黒く塗りつぶして、かろうじてディスプレイのある(と思…

ワンダーフォン #02

たしかに下心はあった。 僕が2008年の元旦の朝4時に手に入れた不思議な電話——ワンダーフォンに着信を入れた女性「サリー」は言った。これはあなたの望みを叶える電話です、と。彼女の導かれて辿り着いたソープランド「ヤングガール」の源氏名「リサ」、つま…

ワンダーフォン #01

僕がワンダーフォンと出会ったのは2008年だ。Appleが日本でまだiPhoneを発売していない時期、ダウンジャケットを着ていた冬のことである。このように鮮明に時期を憶えているのは、それが1月1日の元旦、それも川崎堀之内でのことだったからだ。 当時、僕は27…