ゆーすけべー日記

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「文章のみがき方」辰濃和男

親父から「これ面白いよ」と渡された新書。今昔の多くの作家・文豪達による「文章を書く」と言う行為へのこだわりがびしびし伝わってくる。そこが一番の「面白さ」で、とても刺激を受けた。天声人語の執筆を以前担当していた辰濃和男氏による「文章のみがき方」だ。

文章のみがき方
文章のみがき方

本書では、文章を書くことを仕事としている作家や文章家が日々何を心がけてそれを書いているのかを紹介していく。夏目漱石から向田邦子、村上春樹まで約30人が過去明かした文章を書くことへのこだわり、心がけが引用と共に作者の平易な言葉で述べられている。各々、文章を書くときに心がけることは人それぞれであるが、一貫しているのはそのこだわりの強さ。あの作家達はここまで考えて、そして苦しんで、もしくは楽しんで文章を書いていたのかと感嘆するのだ。孫引きが多くなってしまうが、いくつか例を挙げてみよう。

作者は書くことと読むことは表裏一体であるとし読むことも大事だと序盤で主張する。そこで、村上春樹が大学の授業で本を読むときに重要な点として、「繰り返し読むこと」「その本を好きになる努力をすること」「疑問点を並べること」と生徒に伝え、彼自身がいつも心がけていると紹介する。やはり知っている作家がこのような意図で日々本を読んでいると知ると何か思うところが出てくるものだ。

次に、文章を書く究極の目的という点で、井上ひさしの本から引用している言葉がわかりやすくて引っかかった。今この文面をうつしていても確かに「究極」であると思う。

「作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということだけなんですよね」

井伏鱒二は我々からしたら意外なところで苦労をしている。これほどの作家が手こずっているわけだから、日本語の難しさと繊細さがよくわかる。

「私は文章をかくとき語尾に手こずっている」

最後に俺が一番感銘を受けて、文章を書くことの面白さがわかる、三島由紀夫のセリフを引用しよう。

「私はこうして文章を書いていますが、去年書いた文章はすべて不満であり、今書いている文章も、また来年見れば不満でありましょう」

著者はこの引用が現れる章の題名に「自分と向き合う」とつけている。文章を書くことによって今、そして過去の自分と向き合うことができる。ブログ等の存在により誰でも文章を書いて残せ、人に見せることが可能な世の中になった。そうした書く行為を通じて自分を見つめ、自己を成長させ、文章もみがいていく。自分もそんなことができればいいと思う次第だ。

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    • 5 自分の心と真摯に向き合う
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